企業訪問インタビュー<br>     ―株式会社松田商店『リサイクル見学システム工場<br>「くるくるシティ」』―

2019/10/18

企業訪問インタビュー
―株式会社松田商店『リサイクル見学システム工場
「くるくるシティ」』―

年間5,000人もの見学者を受け入れているリサイクル見学システム工場『エコ・エデュテイメントパーク「ECO・EDUTAINMENT PARK」 “くるくるシティ”』をご存知ですか?
南海電鉄 和歌山市駅から車で5分ほどの場所にある資源リサイクルセンター 株式会社松田商店には、地域や近隣県の小学生にとどまらず、中国の子どもたちや外国の大使までが見学に来ます。

見学者が絶えることがないという、人気の「くるくるシティ」を訪問しました。

(クルリンロボ)

 

くるくるシティはこんなところ!

くるくるシティは、環境問題の深刻さやリサイクルの現状を子どもたちに楽しくわかりやすく学んでもらうためのリサイクル工場のテーマパーク!館内のいたるところにマスコットキャラクターの「クルリンちゃん」のイラストやロボットがいて、リサイクルセンターに来たとは思えない空間です。

はじめに、リサイクル研究所で「クルリンロボ」や博士が登場するショーをみて、その後に実際のリサイクル設備や働いていらっしゃる皆さんの作業を見学するというコースになっています。

詳しく書いてしまうと子どもたちの楽しみを奪ってしまうので省きますが、迫力のあるショーは大人が見ても楽しい内容で、分別しなきゃ!という気持ちが自然と湧いてくる仕掛けがたくさん。
そして、社員の皆さんのエンターテイナーぶりが本当に素晴らしく、演劇指導を受けたクオリティの高さも人気の秘密です。

 

ペットボトルからマグカップが!

和歌山市内で回収したペットボトルは洗浄して細かいチップ状に砕かれます。これにインクをまぜて、機械に入れるとあら不思議、マグカップに生まれ変わります。
見学した子どもたちは、このマグカップを記念品として持ち帰ることができます。社員の皆さんが実際に働く、缶や瓶の分別場も見学コースに入っています。

見学者用の専用テーマパークをつくり、リサイクルの現場をここまでオープンに見せている企業は業界では珍しいのではないでしょうか。代表取締役の松田多永様にテーマパーク設立の想いを伺いました。

(代表取締役 松田多永 氏)

―素晴らしい見学施設ですね。なぜこのような施設をつくったのですか?

リサイクル業界は、あまり外に見せない業界です。においもあるし、汚いというイメージ。ですが、お金儲けのためではなく、本業の延長線上で、何か世の中の役に立つことをしたいという想いがずっとありました。
はじめは子ども向けのリサイクルの環境絵本をつくりました。それがだんだん、絵本のキャラクター「クルリンちゃん」のロボットをつくったり、壁に絵を描いてみたり。そのうち、クルリンロボをモチーフにしたテーマパークをつくってみよう、と。
くるくるシティの見学施設を建てたのは約15年前です。見学コースや内容は手を加え、社員で工夫して少しずつ手を加えていきました。予算が限られている分、アイデア勝負です。口コミで広がって地域の小学校から見学依頼が入るようになりました。

―リサイクルペットボトルのマグカップもかわいいですね。

1997年にペットボトルを分別したいと和歌山市から依頼がありました。私たちは地域の皆さんの資源をもらっています。それを何かの形にして和歌山市民に還元したいと思いました。そこで実際に回収したペットボトルを洗浄し、チップにしてマグカップをつくりました。マグカップができる工程も見学してもらっています。
見学に来てくれた子どもたちにプレゼントすると、とても喜んでくれます。大事に使ってくれれば、その度に「くるくるシティ」で見たこと、感じたことを思い出してくれるでしょう。

―社員の皆さんで、くるくるシティを運営していらっしゃるのですね。

和歌山市役所に演劇をやっている方がいて、絵本のキャラクター設定どおりの脚本を書いてもらいまいた。社員がくるくるシティの登場人物の役を演じるため、演技や発声の指導もしていただきました。
はじめは遠慮がちだった社員も回数を重ねるたびに上達し、今では子どもの前で演じることが自信につながっているように思います。その自信が、接客や電話対応など普段の業務にも活かされ、好循環が生まれています。

―業界でも珍しい取組みを、社員の皆さんはどう思っていますか?

やり始めた当初は社員の理解も得られず、はじめの2~3年は苦しい時期もありましたし、社員のモチベーションを保つのは大変でした。ところが、長年続けていると、社外からの評価の高まりを感じるようになりました。私としては、やってきたことに間違いはないと安心しています。世の中の考えも変わってきているということですね。このことは社員の気持ちも動かしました。みんな誇りをもって働いてくれています。
廃棄物を扱うからこそ、キレイにしなくちゃいけない、という意識も生まれました。

―今後の展望を教えて下さい。

5年前に工場を立ち上げ、リサイクルペットフレークの販売も行っています。それまでの中間処理業からの脱却です。原料メーカーとなったことで、社員はより丁寧に作業するようになりました。時代をみながら、自分たちの事業の延長線上で何ができるか、常にアンテナを張り巡らせていきたいです。
かつてくるくるシティを見学してくれた子どもが、いま大人になって入社してくれたり、小学校の先生になって子どもたちを引率してくれたりしています。本当に嬉しいです。100人のうち1人でも2人でも環境のことを考えてくれたらいいな、そういう想いでやっています。

―ありがとうございました。

(松田社長とAPSP事務局メンバー)

 

(見学を終えて)

持ち帰ったマグカップをきっかけに、ごみの問題や環境の話題が家族の会話に出てくるのだそうです。くるくるシティで体験した記憶は、きっと大人になっても残るんじゃないかと思います。女性社員も多いという松田商店さん。今後のさらなる展開に注目です!

株式会社 松田商店
http://www.eco-kururin-matsuda.co.jp/
※くるくるシティの見学は子どものみ

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