持続可能な未来へむけて<br>専務理事 中間玖幸

2020/07/16

持続可能な未来へむけて
専務理事 中間玖幸

2012年7月に設立された当協会は、この7月に9年目を迎えました。そして、会員や関係者の皆様にお送りしているニュースレター(メールマガジン)は100号を迎えました。当協会の活動を日頃から支えて下さっている皆様に、改めて深く感謝申し上げます。

前専務理事である中間大維の遺志を受け継ぎ、私が協会の任につきましてあっという間の1年間でした。しかし、わずか1年の中でも私たちの活動を取り巻く環境は様変わりいたしました。

その背景にあるのは言わずもがな、SDGsの機運の高まりです。「SDGs」「ESG」「サスティナビリティ」というキーワードや企業の社会的な取り組みについて、見聞きしない日はありません。もはやこれは一時のトレンドではなく、社会の大きな潮流となってきたと感じています。

そのような中で突然起きたコロナ禍。日々移り変わる不安定な状況の中で厳しい経営判断を迫られている企業・団体も多くいらっしゃるかと思います。また貧困の拡大など、社会的に弱い立場に置かれてらっしゃる方を中心に、状況が悪化しているとお伺いすることも増え、大変心を痛めております。先日の国連の発表でも、貧困率の上昇や教育機会の減少によりSDGsの2030年の達成が困難になったとありました。経済の悪化により、時代は逆行していくのではないか、そう不安になられた方もいらっしゃるかもしれません。

しかしこのコロナ禍は、私たちに持続可能な社会を実現させるための二つの大きな学びときっかけをもたらしました。

ひとつめは、私たちの日常を取り巻くあらゆるものについて、価値の再考が行われたことです。緊急事態宣言下、私たちの生活は多くの面で制限を受けました。会える人や出かける場所が減り、物資なども制限される中で、私たちはそれぞれにとって何が大切なのかを熟考する時間を得ました。健康であることの意味、家族や友人の大切さを痛感し、必要なモノ・コトの選別を行う中で、「真の豊かさとは何か」、「幸せとは何か」を考えた方も大変多かったのではないでしょうか。

二つめは、健全な社会の重要性を再認識させたことです。コロナ禍は、私たちの自由や豊かさが、社会の健全性の上に成り立つものであるということを改めて実感させました。普段は目に見えない社会のシステムが、極めて危ういバランスの中で維持されていることも知らされることとなりました。そしてまた、このような正解の見えない事態を迎えた時に重要になってくるのは、社会を構成する一人一人の意識や行動であると痛感しました。これは私たちにとって何にも代えがたい学びです。

環境や社会を守るためには過度な経済活動はやめなければならない、そんな議論が活発になされていた時期もありました。しかし奇しくもコロナ渦によってそれが実行されたとき、社会が立ち行かなくなるという現実も私たちは目の当たりにしました。経済活動と社会の健全性をどう維持するのか、二者択一ではない次の時代の議論が始まっています。

消費行動においては、新たな価値観で商品・サービスの選別が進むことになるでしょう。経済の悪化により、一時的な価格志向は台頭してくるかもしれません。しかしその両極として、人々に本質的な豊かさをもたらし、社会を持続的に発展させていく商品・サービスが選ばれていく社会になっていくと考えています。まさに、「ソーシャルプロダクツ」の時代が来た、そう確信しています。

そして幸いなことに、この分野には多くのエネルギッシュな担い手がいらっしゃいます。

この1年間、ソーシャルプロダクツに取り組む多くの方々にお会いする機会を頂きました。また、緊急事態宣言下もオンラインを通じて多くの方とやり取りをさせて頂くことができました。驚かされるのは、お一人お一人が変わらず前向きでいらっしゃることです。それは、ソーシャルに取り組む方の特徴である「未来志向」によるものだと感じています。アフターコロナの議論が始まる前からそのずっと先を見つめている、そんな方々ばかりでした。このような力が、必ず次の新しい時代の中心となると確信しています。

協会では、そのような皆様とともに取り組む「共創」の試みを始めています。持続可能な未来へ向けて、異なる企業・団体が連携しあい価値を産み出すプロジェクトを次々と世に発信していきたいと考えています。

一個人、一団体だけでは新しい時代を作ることはできません。業種や組織の枠を超えて連携することは、社会に大きなインパクトを与えます。新たな事業を模索している取り組みを、次のステージに押し上げたい、そんな皆様をつなぐ役割を担っていきたいと思います。

持続可能な未来へ向けて、私たちは力強く邁進してまいります。今後の協会の活動にどうぞご期待ください。

一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会
専務理事 中間玖幸

 

 

 

 

 

 

 

 

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