環境保全の重要性が叫ばれて久しいですが、近年、日本国内ではオーガニックコットン市場が拡大しています。アパレルメーカーや繊維メーカーが、オーガニックコットンを製品に取り入れる動きが加速し、それに伴って取扱い店舗も多くなり、生活者が気軽に買うことができる環境が整いつつあります。
今回は、オーガニック繊維製品の国際的な認証制度 GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)についてご紹介します。

●どのような認定制度?●

衣服やタオルなどの繊維製品は、紡績・紡糸・織布・編立・染色・縫製・加工などの多くの過程を経て製品化されます。たとえ原綿や羊毛などが農場でオーガニック認証を受けているとしても、製品化の過程で洗剤や染料など多様な化学物質が使用される可能性があります。また、安価で大量の衣服を生産するために劣悪な労働条件で働く人たちが存在します。
そこで 2005 年、生産工程を含めたオーガニック繊維製品の認証基準、GOTS(Global Organic Textile Standard)が策定されました。生産工程で使用する物質や排水管理、容器包装の素材、労務基準などが細かく規定されています。それらの基準をすべて満たし、認証機関の審査を経て、GOTS の認証マークを貼付することができます。

●社会的課題との関係性は?●

一般の綿栽培は大量の薬剤を使用します。世界の殺虫剤使用量の約 25%、農薬使用量の約 10%が綿花生産に使われているほどです。 T シャツに換算すると、一枚で 150g もの農薬を使用していることになります(テキスタイル・エクスチェンジより)。
こうした農薬や製造過程で使用する化学物質は、労働者の健康被害や水や環境の汚染につながります。また、農場での児童労働や工場での低賃金・長時間労働は大きな社会問題です。
GOTS 認証取得製品が増えることで、繊維製品の製造過程に関わる全ての人々の生活と、健康や環境に与える負荷を減少させ、より健全な社会をつくることが可能になります。

●認定の基準と取得状況●

認証基準は、主に以下のような事項です。
・製品原料の 70%以上が国際的なオーガニック基準に則って認証されている繊維である。
・遺伝子組換え技術を使用しない。
・GOTS の規定で認められていない資材を使用せず、環境や生態系に悪影響を及ばすことの無い状況のもとで製造および加工されている。
・働く人達が安全で、健全な環境でつくられている。
・トレーサビリティーが保たれている。
2013 年 12 月現在、60 カ国以上の国で 3085 の企業/施設がGOTS認証を取得しています。国別ではインドが圧倒的に多く 1029 件、次いでトルコ(421 件)、中国(197 件)となっています。
日本国内では 79 の企業/施設が認証を取得しています。(2008 年は 58 件)

●ご担当者様からのコメント●

自分の肌への影響だけでなく、農場の環境や、作り手の生活や労働環境まで改善するソリューションとなりうるのがGOTS 認証の製品です。原料だけでなく、製造工程すべてでオーガニックの基準を満たしているという点がGOTS認証の特徴です。
日本ではオーガニックコットンは手に入りやすくなりましたが、まだまだバラエティーが少ないと感じています。世界では、特にエシカルファッションを求める生活者の多いヨーロッパでは、GOTSの認証を受けたウールや麻など多様な素材を使った、様々な色やデザインの衣服・インテリアグッズが豊富に見られ、広がっています。日本でも、ソーシャルプロダクツで自由におしゃれに!毎日を楽しめるよう、GOTSマークの製品を手にしていただけたらと思います。

 

GOTS認証

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