ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―株式会社マジェルカ―

2020/09/30

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―株式会社マジェルカ―

吉祥寺駅から徒歩8分。雑貨店が軒を連ねる通りに店舗を構えるマジェルカは、心や体に障がいを抱えた人たちが作った商品を扱うセレクトショップです。店内には、ポストカードや文房具、インテリア雑貨などがディスプレイされていて、吉祥寺でショッピングをしている人たちの目を引きます。なぜこのような店舗を始めたのか、マジェルカのウェルフェアトレードの取り組みについて、株式会社マジェルカの代表である藤本光浩さんにお話を伺いました。

―マジェルカを立ち上げたきっかけについて教えてください。

私自身、福祉の業界に携わったこともなければ、障がいのある方たちが作っている商品に対し、あまり興味を持っていませんでした。それなのになぜこのような障がいのある方たちが作った商品のセレクトショップを始めたのかと言うのにはあるきっかけがありました。以前、バイヤーの仕事をしていた時に、「いいな」と思って選んだ商品が、たまたま福祉施設で作られたもので。障がい者が作ったものと言うと、低品質なイメージがありましたが、彼らはこんなにクオリティの高いものを作ることができるんだと知って驚きました。一人のモノを売る人間として、まだ世の中に知られていない新しい価値を発見したことを嬉しく思いましたね。

 

―たしかに、駅なんかで障がい者の方が作った商品を売っていても、購入しにくいイメージがあります。

本当に欲しいものを、対価を払って買うという仕組みで動く市場とは違うのかもしれません。「あまりクオリティは高くないですが、障がい者の為に買ってくれませんか?」という姿勢ですね。「障がい者のために買いたい」と言って商品を手に取る人はいますが、それ以外の人々を購買層にすることは難しいようです。しかし、商品のクオリティを上げることや売り方を工夫することで、魅力的な品物をより多くの人に知ってもらうことができるのではないでしょうか。障がいのある方がこういった商品を作っている、作れるということをむしろ知らない人々にも知ってもらう為の間口を広げたいという想いがあり、多くの人で賑わう吉祥寺に店を構えました。私自身がそうであったように、お客様からは「障がいのある人が、こんなに素敵なものを作っているなんて知らなかった」といった感想をいただくことがあります。

 

―「障がい者支援」という名前で様々な取り組みがされていますが、障がい者への偏見はなくならないですね。

たとえば電車の中で独り言を言ったり、ちょっと変わった動きをしている人を見た時に「あ、変な人がいる」とマイナスイメージを抱いて避けてしまいます。しかし、マジェルカを訪れて、障がいのある人たちが作ったバッグや小物を手に取って、それまで知らなかった彼らの魅力や価値を知って関心を持つと、少なくとも、帰りの電車で行きに出会ったと同じような障がいのある方を見た時には、きっと以前とは違った視点で彼らを見ることができるのではないでしょうか。

わざわざ休日にボランティアとして彼らと関わるというなどと比べればとても些細な事ですが、それだけにゆるやかにでも広く社会を変えていける可能性があるのではないかと思います。そういったことを考えると、こうやって丁寧にディスプレイをして、福祉施設で作られた商品を販売することは、意義があるのかな、と。

 

―どのような商品を扱っているのですか?

商品の入れ替わりはありますが、全国のおよそ70か所の福祉施設で作られた商品を取り扱っています。

障がいのある方が手作業で一点ずつ作った雑貨を扱っていますが、販売物の中には、当社が企画提案やデザインという形で携わって製作しているものも増えてきました。作り手がお客様と直接関わる機会がないので、私たちがお客様の声を聞き「こうしたら、もっと素敵な品物になる」というフィードバックを作り手側に対して行っています。

 

―こうやって自分の作った商品がお店に並ぶことは、障がいのある方にとってもモチベーションになるのではないですか?

そうですね。そこに足を運べる良さもあると思います。自分で作った商品を自分で購入したり、家族の方が喜んで買っていかれることも多いんですよ。その意味を考えることは大切だと思います。お洒落な場所で、自分が作った商品が素敵に飾られているところを目にして、手に取る。そういった意味を考えずに、彼らが作る商品を「障がい者が作ったものです。買ってください」と適当に並べてしまったら、売れませんよね。

―どんな場所で売るか、どのような売り方をするかは大切なことなのですね。こちらにはギャラリーが併設されているとホームページを見て知ったのですが、どちらにギャラリーがあるのですか?

実は、店舗の地下がレンタルスペースになっています。作品の展示の他にも、ワークショップや展示等の用途で一般の方にご利用いただくことができます。作家さんの展示会を見に来た方や、ワークショップに参加した方たちがマジェルカの店舗を覗いてくださることもありますね。普段であればここに訪れないような方にも障がいのある人たちが、こんなものを作っているんだ」と新たに知ってもらえるという期待はあります。

 

―今後の展望について教えてください。

これまでウェルフェアトレードを世の中に広げる活動を株式会社として続けてきたマジェルカですが、活動の幅を広げる為にも、また持続させていく為にも、より多くの方々がこの活動の輪に加わって頂く仕組みや形を目指して一般社団法人を立ち上げようと考えています。ご興味のある方があれば是非これからのマジェルカに加わって下さると嬉しいです。

(当記事は2016年5月に発行された当協会ニュースレターにて紹介したものを、2020年9月現在の情報に改めた記事となっております。)

 

<店舗情報>

「マジェルカ」

住所:〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町3丁目3−11

電話:0422-27-1623

定休日:火曜日

営業時間:11:00〜19:00

HP:http://www.majerca.com

この企業について

株式会社マジェルカ

東京都武蔵野市吉祥寺本町3-3-11 中田ビル1F

http://majerca.com

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