ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―アース製薬「natuvo」―

2019/02/25

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―アース製薬「natuvo」―

「ピレパラアース」に代表される防虫製品でお馴染みのアース製薬。同社は近年、オーガニック製品ブランド「natuvo」を開発し、化学合成成分フリーの新しい防虫剤やファブリックケアミストの展開に取り組んでいます。世間的にはケミカルなイメージの強いアース製薬が、なぜオーガニック製品事業に着手したのでしょうか。今回は、「natuvo」の開発経緯、オーガニック製品ならではのプロモーション、顧客からの反響、今後の課題・展望などについて、ブランドマーケティング部の三好様、中村様に具体的なお話を伺いました。

―まずは、「natuvo」の開発経緯を教えてください。

昨今、製品に対して「機能性」や「価格」にとどまらないこだわりを持つ生活感度の高い消費者が増えてきています。とくに、食品やコスメを中心に「オーガニック」を求める声が高まり続けているようです。そうした流れは今後、日用消耗品にも波及していくことが見込まれます。しかしながら、オーガニックを気軽に取り入れることができて、確かな効果を伴う衣類用防虫剤は、存在していなかったことに気が付きました。

「natuvo」は、化学合成成分(ピレスロイド系、パラジクロルベンゼン系)を一切使用しておらず、100%天然由来成分の商品です。そのうち、75%が無農薬栽培された植物から抽出したオーガニック成分(スペアミントオイル)となっています。防虫剤としての効果も、「ピレパラアース」などのオーガニックではない通常製品と比較して遜色ありません。

現在、防虫剤市場は縮小傾向にあります。とくに若年層の方は、衣類防虫剤を使用する習慣がそれほど定着していません。一方で、オーガニックに関心がある若年層の方は、沢山いらっしゃいます。そうした層に対して、オーガニックという切り口で、お子様やペットにも安心な成分で衣類を守れる防虫剤として訴求する狙いがありました。

―「natuvo」の開発過程で苦労されたことはありましたか?

多くのお客様に「natuvo」をお届けするにあたって、ある程度の製品ロットを確保する必要がありました。オーガニック素材を安定的に供給するために沢山の産地や農園などを奔走しました。

また、防虫効果と使用感・香りのバランスを取ることにも苦労しました。「natuvo」は、オーガニックに強いこだわりがあって購入いただくお客様にも、オーガニックへの興味から試しに購入いただくお客様にもご満足してもらえるような製品を目指しました。そのためには、確かな防虫効果と使いやすい香りの両立が重要です。しかし、使用感を高めるために香りを良くすると防虫効果が下がってしまい、逆に防虫効果を高めると使いやすい香りのレベルではなくなるというジレンマに苦しみました。理想のバランスにたどり着くまでには、3年近くの開発期間を要し、オイルの配合を100通り以上も試行錯誤しました。

―「natuvo」の開発には、CSRやSDGsへの対応といった意図もあったのでしょうか?

弊社では、「お客様目線を大切」にしています。「natuvo」も、あくまで市場におけるオーガニックの需要を反映した製品で、CSRやSDGsへの対応を起点としたわけではありません。しかしながら、「natuvo」が市場に浸透することで、世の中にオーガニック製品が普及すれば、少なからず環境負荷の軽減につながります。

CSRやSDGsの広がりに代表される世間の大きな流れに伴って、消費者の社会的な意識も高まってきています。そういった意味では、お客様目線の商品開発が、結果的にCSRやSDGsへの対応にもつながる時代が到来したと言えるかもしれません。

―おっしゃる通りですね。「natuvo」の具体的な顧客構成を教えてください。また、顧客からの反響は、いかがでしたか?

まず、オーガニックでない通常製品(ピレパラアースなど)をご購入いただいているお客様は、50-70代が中心です。これは、衣類防虫剤市場の全体に当てはまる傾向です。一方、「natuvo」のお客様は30-40代が中心です。ご購入いただいているお客様の中には、日頃使用している製品や、普段の生活にこだわりを持った方が多くいらっしゃるように感じます。これまで防虫剤にそれほど馴染みの無かったお客様にもアプローチすることが出来たのではないかと感じる次第です。

そうしたお客様からSNSや販売サイトなどを通して、「小さい子供がいるので安心」「ナチュラルな香りが良い/芳香剤みたい」「デザインがおしゃれ」といったお声を頂いています。また、「natuvo」の白基調でナチュラルテイストなパッケージデザインは、小売店様から通常製品と比較して、とても目が引かれるとのご評価もいただいております。

―オーガニックでない通常製品と比較して、プロモーション上の特徴などありますか?

通常製品のプロモーションは、基本的にはテレビCMなどのマス・プロモーションを中心に展開しています。一方、「natuvo」は、製品やそのコンセプトに対する「共感」を大切にしていることから、マスだけでなく、生活への感度や製品へのこだわりを持ったお客様を中心に、Web媒体などを通してピンポイントで訴求しています。具体的には、スタイリストの方による利用シーンや使用感などをご紹介いただいた記事や、「natuvo」が生活に溶け込んでいるシーンを切り取った動画などを配信しています。

また、生活への感度や製品へのこだわりを持ったお客様には、ご自身で製品について深く調べたり、SNSなどで製品をご紹介いただいたりする方もいらっしゃいます。そうした方々に向けて、「natuvo」のブランドサイトには製品の情報やこだわりなどを、詳しく掲載しています。

―最後に、今後の展望・課題を教えてください。

「natuvo」をリリースしてから約2年が経過しましたが、まだまだ商品の認知度が足りないと考えています。現在、アプローチできていない潜在的なお客様に対して、プロモーション施策をいかに展開するかが、今後の課題です。

第1弾の衣類防虫剤が好評だったことを受け、昨年秋にはファブリックケアミストをリリースさせていただきました。こちらも有効成分は100%天然由来成分(うち、50%がオーガニック成分)で、消臭・芳香効果に加え、防虫・ダニよけ効果があるミストとして、ご好評いただいております。

今後もお客様の声に耳を傾けながら、市場動向やオーガニック製品について研究を続け、弊社ならではの新しいオーガニック製品を展開できればと考えています。

―ありがとうございました。

【参考資料】

『natuvo ブランドサイト』(https://www.earth.jp/natuvo/)※最終閲覧日:2019年2月18日

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アース製薬株式会社

東京都千代田区神田司町二丁目12番地1

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