ソーシャルプロダクツ・インタビュー<br>―株式会社パイロットコーポレーション―

2017/07/25

ソーシャルプロダクツ・インタビュー
―株式会社パイロットコーポレーション―

パイロットコーポレーション(東京都中央区)では、「地球にやさしいエコロジーの文房具品」をコンセプトに、使いやすさと品質を高め、リサイクル材を使用した、「BEGREEN(ビグリーン)」というブランドを展開しています。さらに、製品の企画に始まり、設計・製造・販売など、企業活動のすべての面で、地球環境の保全に取り組むことを指針としています。

今回はこのパイロットコーポレーションのリサイクル材を使用した商品開発の裏側についてお話を伺いました。

 

-まずパイロットコーポレーションが、リサイクル材を用いた商品を作るようになった経緯について、お話いただければと思います。

当社が文房具メーカーとして、「環境に配慮した商品」を誕生させたのは、1997年4月から施行された容器包装リサイクル法や、環境問題に対する世の中の意識の高まり、さらには大企業や官公庁が環境に配慮した商品を優先購入するという動きがきっかけでした。

「環境のことを考えた商品を新たに開発していこう」という流れから、今から20年前の1997年9月にリサイクル材を使用した「エコメイト(ecomate)」という商品が誕生しました。現在は「BEGREEN」というブランド名に変えて販売しています。

-具体的にはどういった素材が使われているのでしょうか?

ボールペンやシャープペンシルが主軸の商品となるのですが、軸とさや、グリップなどにリサイクル樹脂を使用しています。リサイクル樹脂とは、工場内で発生したスクラップや、コンパクトディスク、ヘッドライトの端材などを再生利用することで作られる素材のことを指します。

 

-ボールペンやシャープペンシル以外にはどんな商品がありますか?

マーカーの使い捨てが当たり前の時代が昔はありましたが、ホワイトボードマーカーなどのマーカーの多くを、インク補充やカートリッジ詰め替え可能にしました。

「ボードマスター」というホワイトボードマーカーは、カートリッジのインキを詰め替えるタイプで、「廃棄物を削減できる」というエコロジーなポイントを商品の特徴に掲げて発売しました。

カートリッジを交換するだけで済むのは、環境にやさしいだけでなく、「価格的にもリーズナブルである」と、お客様から好評を得ています。そして今では、安価な筆記具の多くで、リサイクル材を使うことが当たり前になっています。

-その後、環境に配慮した商品をどう展開されていったのでしょうか?

2006年からは「BEGREEN」の名称で、他社に先駆けてヨーロッパで販売を開始しました。実は当時のヨーロッパは、環境への意識が高い地域であるにもかかわらず、環境に配慮した文具はあまり販売されていないことが、当社のマーケティング調査で明らかになったのです。

そこで、「ヨーロッパで当社の商品を『環境に配慮した文房具品』として販売すれば、そのコンセプトが受け入られるのではないか」と考え、海外進出を計画し、実行しました。実際、ヨーロッパの人たちにとって当社の手掛けた商品は画期的だったようで、売り上げは初年度から好調でした。

-海外に目を向けて販売していくとは、着眼点が素晴らしいですね。ヨーロッパ以外の地域にも今では広がっているのですか?

2007年以降は「BEGREEN」を世界統一の環境配慮商品ブランドとして、日本やヨーロッパだけでなく、アメリカやアジアの国々に向けても販路を拡大させていきました。

「BEGREEN」は、環境への負荷が少ない商品の目印である「エコマーク」の認定を日本国内で受けていますが、この商品を世界に拡販していくにあたり、環境ラベル機関の審査基準が国ごとに異なっていたため、試行錯誤しながら1カ国ずつ対応していきました。こうした課題を乗り越え、今ではパイロットのエコ商品「BEGREEN」のイメージが、世界でも定着してきています。

 

-現在の「BEGREEN」の代表的な商品について教えてください。

ユニークな商品としては、アオダモを軸に使用したボールペンがあります。アオダモというと野球の木製バットをイメージされる人もいらっしゃるかもしれませんが、その通りで、バットを制作する際に発生する端材を再利用しています。商品名の「ジャストミート」は、まさに野球からきているネーミングです。

 

-「BEGREEN」はどちらで生産されていますか?

当社の生産工場は神奈川県平塚市と群馬県伊勢崎市、グループ会社であるパイロットインキが三重県津市、愛知県愛知郡東郷町にあるのですが、すべての工場で世界的に認められた環境マネジメントシステムの「ISO14001認証」を取得しています。

 

-最後に、会社として今後、環境面をはじめとするソーシャルな領域で力を入れて取り組んでいきたいことがありましたら教えてください。

今や仕事上では、なにか書く際には、パソコンのワープロソフトを利用することが主流ですが、ボールペンやシャープペンシルなどの文房具も根強い支持者がいて、高機能かつ高付加価値のある筆記具は今も好調です。そのため、世界ブランドの「BEGREEN」は使いやすさと品質をさらに追求し、環境面での配慮をより高めていきたいと考えています。

また、より多くの商品で、使い捨てにならないように替芯やカートリッジ交換ができる仕様にしていくなど、環境に配慮した商品を作り続けていきたいと思います。

 

-ありがとうございました。

この企業について

株式会社パイロットコーポレーション

東京都中央区京橋二丁目6番21号

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