APSP会員企業訪問<br>「サラヤ株式会社」

2020/03/13

APSP会員企業訪問
「サラヤ株式会社」

APSP法人会員でもあるサラヤ株式会社に、APSP江口泰広会長(学習院女子大学名誉教授)が訪問し、代表取締役社長 更家悠介様からお話をうかがいました。

(写真左:サラヤ株式会社 代表取締役社長 更家悠介様、写真右:APSP江口泰広会長)

 

江口会長(以下江口):2013年に開催した第1回ソーシャルプロダクツ・アワードで「Happy Elephant 洗たくパウダー」は大賞を受賞されました。当時からずっと社会的な取り組みに力を入れていらっしゃいます。更家社長はウガンダ共和国名誉領事にも就任されたそうですね。

 

更家社長(以下更家):2010年に弊社の創立60年の記念事業として、日本ユニセフ協会と協働でウガンダの子どもたちに手洗いを普及させる「100万人の手洗いプロジェクト」をスタートさせました。ウガンダでは衛生環境の悪さから下痢に苦しむ乳幼児も多く、また妊婦の死亡率もとても高かったので、それを何とかできないか、というのがきっかけです。まず寄付から始まりましたが、それでは拡大できない。サポートしたくても寄付には限界があります。ビジネスとして取り組むことで、そのあとの展開の広がりにつなげられる、そう思いました。

2011年にアルコール手指消毒剤の現地法人を設立し、2014年に生産工場も作りました。それらの活動が2019年、ウガンダ共和国名誉領事任命につながっています。

 

江口:ビジネスとして取り組むという発想はとても素晴らしいですね。そして国と国との関係まで築く。これはSDGsの本質ともいえますね。

 

更家:SDGsについてお話ししますと、SDGsの究極的な目標は地球を持続可能にして次の世代に残したいということだと思います。私は熊野の出身で、幼い頃は熊野川でよく泳いで遊びました。あの美しい風景を残したいですね。同じような思いを抱いている方も多いでしょう。そのためには社会、経済、環境がバランスを保っていないといけません。特に社会システムを含めた経済をしっかり組み立てていかないとSDGsは達成できません。

 

江口:社会システムをつくり、それをビジネス活動につなげていくということですね。

更家:社会システム開発型のビジネス分野には、新しいフロンティアがあります。現在、社会的な事業で成功している会社は、皆さん新しいフロンティアを開拓している会社です。こういった分野に参加したい若者も増えていますし、日本も新しいビジネス、イノベーションはまだまだ起こせます。

どんな会社でも自然資源に頼ってプロダクトやサービスをつくって利益を得ているわけです。今のペースでは自然資源が無くなって、いつか自分たちのプロダクトやサービスはつくれなくなるはずです。ですから、自然資源を保全する目線がないといけない。地球を持続可能にしていこうというメッセージは、プロダクトやサービスを通じてできることなのです。

 

江口:プロダクトを通じて、というお話がありました。御社で具体的にされている特徴的な取り組みはありますか?

 

更家:主力商品の一つである「Happy Elephant 洗たくパウダー」は売上の1%をボルネオの野生生物の保全につながる活動に寄付しています。お客様に活動費用を払ってもらっているという感覚ですから、当然お客様には商品についての情報を伝える努力をしています。例えば弊社では2007年から2015年まで、毎年公募によって選ばれたお客様4組8名をボルネオの視察ツアーに招待しました。公募にあたっては、応募動機をお客様に書いていただき、それを全てしっかり拝読して選びました。残念ながら現地の治安悪化により現在はお客様を招待するツアーは開催していませんが、メディアの方々向けには今でも継続しています。メディアの発信を通じて、お客様へ現地の様子を積極的に伝える取り組みをしています。

結果的に、サプライチェーンからお客様までバリューの共有ができていると思っています。商品に共感・購入していただいているお客様を意識し、緊張感をもって活動しています。

 

江口:更家社長は、SDGsを自分事として語っていらっしゃるのがとても印象的で素晴らしいなと感じました。ところでSDGs活動は、社長自ら率先して進めていらっしゃるのですか?社内の体制はどのようになっているのでしょう?

 

更家:現場の社員はその日の売上や利益に関心がいき、どうしても視野が狭くなりがちです。社員一人一人がどのように考え、どう行動するかだと思います。昨年、サステナブル推進本部という部署をつくりました。本部長は私です。トップダウンでやっていますが、社員に対し必要なのは情報の共有です。

 

江口:サラヤさんは海洋プラスチックの問題解決に取り組んでいる財団「レース・フォー・ウォーター」の活動もサポートしているとうかがいました。これまでは森、そして次は海へと取り組みの幅をどんどん広げておられるのがとても素晴らしいです。更家社長と御社の価値ある取り組みにAPSP としてもご支援をさせていただきたいと思っております。本日は貴重な時間をありがとうございました。

 

 

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