ソーシャルプロダクツ・アワード2020優秀賞 受賞商品に学ぶ「社会課題の解決に向けたカゴメの取り組み」と題し、カゴメ株式会社(以下、カゴメ)の宮地雅典様(執行役員 野菜をとろうキャンペーン担当 兼経営企画室広報グループ部長)にお話いただきました。
1 カゴメの紹介
カゴメは愛知県の地方農家に起源を持ち、本社は愛知県名古屋市にあります。現在は国内外に多数のグループ会社を持つグローバルカンパニーであり、トマト・野菜に関する商品を主軸として日本国内の野菜消費の4.4%を提供している日本を代表する企業です。自社を成長させる活動のみでなく、社会を成長させる活動も積極的に行っていくことで、ソーシャル・ブランドとしての価値向上と自足的成長を確実にしていこうという考えを持っておられ、トマト・野菜並びに健康に関する知見を活かしながら”食を通じて社会問題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる”というビジョンの達成を目指していているそうです。具体的には「健康寿命の延伸」「世界の食糧問題の解決」「地方創生・農業振興」に取り組んでおられ、今回の記事では、その中の「地方創生・農業振興」への取り組みについて紹介していきます。
2 地方創生、農業振興
カゴメが目指す地方創生・農業振興の形の一つに、活力ある生産者の発掘と支援があるそうです。カゴメはこれを「農園応援」と呼び、「地域が自信をもって自走することができる仕組み」を作ること、これがカゴメが目指す地方創生・農業振興だとのことでした。さらには農福連携の考えのもと積極的に生産者に障がい者を起用し、雇用を創出する取り組みも行っています。
「自走する農家」を作るには3つの段階があると仰っていました。
1:地方クラスターの形成
商品を生産する過程で地域の人々と協力し、地方に雇用を創出する。これを地方クラスターと呼んでいるそうです。作物の普及や地域の食文化を次世代に残したいという強い思いを持った人々で構成される地方クラスターが商品化の主役となり活動することを支援しています。
2:持続性のある活動
第二段階として、持続的な活動とは安定販路の確保であり、全国に売り出す商品を企画し、カゴメが持つ全国規模の販売チェーンを活用し販路を提供しています。
3:産地と顧客のつながり
そして最後に、全国各地にいる一般消費者とのつながりを構築するため、カゴメが自社会員の体験ツアーを開催し、生産者のファン形成を後押し、こうした活動を通じて、地域の人々には自信が生まれ、農家が自走して経営できる環境を整え支援しているとのことでした。
3 健康寿命の延伸
カゴメは野菜の会社として本格的に野菜不足という社会課題の解決に乗り出しています。日本人の1日における野菜摂取量はその目標値の350gにあと60g達しておらず、この野菜不足の状況が10年間解消されていないのだそうです。このことに対しカゴメは、「日本人は野菜不足を自覚しておらず、また必要性も必要量も認識していない」と考え、使命感も持って「野菜をとろう、あと60g」というキャンペーンを現在掲げています。知見・技術・サービス・商品すべてを総動員して野菜の取り方を進化させ、”野菜不足ゼロ”を促進する取り組みです。野菜摂取の意識を向上させ、実際に行動を変容させる取り組みを数々行っており、15件もの事例の中からいくつかを今回のセミナーではご紹介いただきました。
4 これからの取り組み「モノ+コト」事業の展開
カゴメがこの先取り組む事業の一例を最後に紹介いただき、ここではそのうちの一つを紹介させていただきます。
【野菜と生活 管理栄養士ラボ】
管理栄養士資格保有者による専門チームである【野菜と生活 管理栄養士ラボ】を立ち上げ、ここではカゴメのトマトを中心とする野菜の研究活動で培った知見やお客様とのコミュニケーション活動で培った提案力を生かして、「食と健康」に関するコンテンツの開発・提案をしているそうです。その管理栄養士ラボが野菜摂取の充足度を表示できる機器である【ベジチェック】を2019年にドイツの企業と共同開発しました。現在は企業や自治体に対し健康増進支援ツールとしてベジチェックのレンタル・リースを行い、健康サポートプログラムの販売を開始しているそうです。「Happy Willness」をキーワードに今後も健康を促進していくとのことでした。
90分のセミナーでしたが、多くの参加者から「もっと詳しく聞きたかった」「多くの事例が参考になった」という声も多く非常に活発なセミナーでした。
次回は2021年2月18日を予定しております。詳細はまたお知らせいたしますので
乞うご期待ください!